vol.9 「ウッドザビエル、木材資源を語る」の巻--- 木樹脂って、木? それとも 樹脂?
こんにちは、本当に久しぶりです。
私、木の伝道師、ウッドザビエルこと、店長のくり坊です。

今回は、最近ちょっと気になる「木樹脂(もくじゅし)」について
一発のたまいたい、と思う次第。

これは、木の粉と樹脂を混ぜ合わせて作った木の代用品ですが、
いまや、サッシ業界をあげて大ピーアールを展開中。

某大手サッシメーカーさんのカタログによれば

「木粉50%と樹脂50%の人工木材。木のフィーリングと木を超える耐久性を持ち、
腐食・虫害・色あせ・割れなど、天然の木材の持つマイナス特性がありません。
屋外向けに最適の性能を備えた人工木は、これからのデッキ材として注目を集めています」とのこと。

確かにすばらしい。
でも、それって、木?これが素朴な疑問です。

はっきり言って、木ではありません。
木でないくせに、わざわざ木目っぽい加工までして木に似せるなんて根性が許せません。
明らかに木ではない。偽物です。

確かに反らない、色落ちもしない、割れない、腐らない。
そう、木樹脂は、木の欠点を持っていません。

でも、それがどうした!

木は確かに腐ります。反ります、割れます。変色もします。
でも、木には、その欠点を許して余りある長所がいっぱいあるんですよ。
そう、あなたのご家族と一緒です。

木というのは、基本的にとってもやさしい素材です。
手触り、ぬくもり、見た目にも。
人工の木を見て、決してそんな感想を持つ人はいないはず。

人間でもそうです。欠点があって長所もある。
もし、すべての欠点を無くしてしまったら「人間らしさ」までなくなりそうです。

欠点のない人間ばかりがでてくるドラマって見たいですか?
見たくないですよね。つまんない。そう、つまらないんですよ。
粋じゃない。情緒がない。ぬくもりがない。味がない。やさしくない。
でも、腐らない。反らない。色落ちしない。

選ぶのは結局あなたです。

しかしながら、実際のところ、サッシが専門の会社が「木」を扱うことは難しいことです。

なぜなら、木についても知識がないからです。

「木が割れた!」というクレームが発生する。
ある意味であたりまえなのですが、アルミが専門の営業マンはうまく説明できない。
売ることはできても、フォローはできません。

結局、手間がかかる。意外に儲からない。
(実際 サッシメーカーさんも、ウッドデッキに関しては儲かっていなかったという噂もあります。)

所詮アルミ屋さんです。

規格品を大量生産したほうが都合がいい。割れたとか、反ったとか文句をいわれることもない。
まして、儲からないとはトンでもない!そんなものやめてしまえ!

そして、大方向転換が始まったわけです。


あるエクステリアメーカーのショールームにて

「ウッドデッキにしたいんだけど・・・」

あなたは、近くにいた美しいショールームレディに声を掛ける。

「ウッドデッキですか。いま、人工木という画期的な素材を使ったデッキ材をご用意しています。こちらです」

彼女は、ごく自然に「人工木」のデッキのほうに誘う。

「これって、プラスチックじゃないの?」

「いえ。人工木です。半分以上は木の粉なので、非常に木に近い素材です」

彼女は、それが当然であるかのように、自信たっぷりに断言する。

「でも本物の木のほうがいいな」

「腐りますよ。・・・(しばらくの間)・・・ひどい場合は、
3年くらいでだめになる場合もあります。メンテナンスも毎年しないといけないし、大変です。」

彼女は、ちょっと眉間に皺をよせて見せる。

そして笑顔にもどるとさらにこう続ける。

「この人工木のウッドデッキは、色落ちもしませんし、
反りや曲がりもなく、メンテナンスしなくても半永久的に使用可能です」

さて、あなたなら、どうする?

つづく