vol.2 適材適所について
テーマは、前回に引き続き「木」について
特に、「適材適所」について、のたまってみましょう。

皆さん、「木」は好きですか?
おそらく、嫌いというひとは少ないと思います。
ただ、積極的に好きかどうかというと返答に困る方も多いでしょう。
なぜなら、木のことを知らないからです。

空気がないと人間は生きて行けないのですが、そのありがたみが分から
ないのと似ています。

最近話題のアフガニスタン。景色の中に木があまりない。
なんだかみんなが砂埃の舞う荒野をさまよっている感じです。
おお、なんだかかわいそう。

皆さん、もっと「木」に感謝しましょう。
そして、「木」のことをもっと知りましょう。

「木」が好き、だとか言いながら、木目柄のシートを見て、「色が揃ってて
きれいねえ」なんてことを言うのはやめましょう。

木は、自然のものゆえに、それぞれ個性があります。
同じ木でも色が違います。反ってきます。割れも入ります。腐ります。
それが「木」です。

ただし、昔の人はいい言葉を残しました。
「適材適所」
うむ、まさに至言なり。これは、もともと建築用語です。
大工さんが材料の個性を見抜いてその材料にふさわしい場所に使用するということで、それができて初めて「棟梁」なわけ。
昔の家が100年、200年と存在できるのは、まさしくこの「知恵」のたまもの。

それが今は、大工さんでさえも「工業製品」馴れし過ぎて木のことが分からなくなっている始末。
柱は、集成材、床は合板、天井は印刷もの。
木のことを知らなくても困らないわけです。

だから、大工さんともあろう人が、平気でSPFのデッキを作ったりする。
(いよいよ、WOODPROの商品寄りの話題に入ってきました)

SPFは、スプルース・パイン・ファー(もみ)の総称で、要は、値段が安い以外には取り立ててアピールすべき特徴のない材料をまとめて「SPF」と呼んでいるわけ。

ホームセンターで売っている2×4材がそうです。
SPFは、主に「2×4住宅」の構造材に使用される材料です。

なにを隠そう我が家も2×4住宅ですが、材料が乾燥していない状態で、
バリバリパネルを作って、それに合板を張って、住宅にしてしまうわけですから、強度がある程度あればどんな木だっていいわけです。

我が家は中古で買ったので、わがままはいえませんが、今でも夜中に「ミシ・バキ」と木の軋む音がします。
当初、「これがラップ現象か」と、怯えましたが、木をがちがちに太い釘で固定し、動かないように合板を張ってあるわけですから、木の伸縮によって木が軋むにも当たり前です。

SPFは、一見白くて確かにきれいで、しかも安い。
強度もそこそこあって、思わずデッキを作りたくなる気持ちは分かる。
ホームセンターには、「ウッドデッキに最適」なんて書いてある。

でもちょっと待った!

きれいで、安上がりそうだからといって、簡単に結婚にしちゃいかん。
外見だけで判断すると痛い目にあう。
たとえ、おせっかいな近所のおばさんが「器量もいいし、あなたの奥さんには最適」なんて言われても、である。(例えが悪かったか・・・)

さて、この材料(きれいで安上がりそうな女性のことではなく、SPFのこと)の最大の欠点は腐りやすいこと。
文献によれば、この材料の耐朽性(腐りにくさ)は、「小」または、「極小」。腐って当たり前なのです。

冒頭で、「木は腐る」と申し上げたが、だからといってすぐに腐っていいものじゃないでしょう。

せっかく作ったデッキが2年くらいで腐ったら、さすがに悲しい。
文句を言ったら、ホームセンターの店員に「木だから腐りますよ」なんて開き直られたら悲しすぎます。

そんなデッキを見て、「木は腐るからイヤ」といわれるのは心外です。
おじさんは、声を大にして言いたい。
「木はいいんです!」


さて、今回はこれくらいにして、次回は「木が腐る」ことについての対策についてのたまうことにしましょう。

乞うご期待。チャンチャン。

【用語解説】
ラップ現象・・・幽霊が出るときに生木を裂くような「バキッ」という音がするらしい。
(小学生のころ、つのだじろうの「恐怖新聞」から得た情報です)